かつてはオンロード「シングルスポーツ」と呼べる車両も国産で存在したが、近年は外車勢に席巻され、国産メーカーの手薄なカテゴリーとなっていた…。そこにDR-Zの復活劇があった! いわゆるオンロードスポーツではなくモタードやオフロード車ではあるが、その新世代シングルエンジンがもたらす素晴らしさは「国産シングルスポーツの復活」を感じさせてくれた。1万字超でDR-Zの熱いインプレをお届けする。

⚫︎ photo:小川浩義

エキスパートも歓迎、初心者も!

2000年に登場したDR-Z400S(2003年型でSMも)の存在を考えると、「モデルチェンジか」と思われるかもしれない。しかし、前回のDR-Zから実に約25年ぶり。当時、250㏄クラスの単気筒エンジンがまだ現役で30馬力前後を発生させており、DR-Zは400㏄のオフロード車だった。完全に「エキスパート」向けモデルであり、モタードカテゴリーもまだ新鮮で尖っていた。時を経て、オフロード車そのものが激減。250㏄オフロード車は各種規制に対応するためパワーダウンと重量増を強いられ、モタードカテゴリーは、いわゆる「公道スポーツ」として、ドリフトやウィリーといったスタント的なテクニックが平均的なライダーには非常に難易度が高いことから、多用途性で知られるようになった。25年という歳月は長い。そんな状況下で復活したDR-Z4S/SMは、開発コンセプトからして「初心者向けモデル」なのだ。もちろんDR-Z400から受け継いだ部分は数多くあるが、DR-Z4S/SMはかつての「エキスパート限定」モデルというより、より幅広いライダーに向けた製品となっている。初めてのバイクとしても怖くないし、「オフロード」や「モタード」といった極端なカテゴリーから切り離しても、普通のバイクとして機能する。エキスパートライダーが乗っても満足できるモデルとして再登場したのだ。

左:DR-Z4S、右:DR-Z4SM。かつての「エキスパート限定」コンセプトを基盤とした両モデルは10月8日より日本国内で発売。

鮮やかな黄色、ほぼ全てが刷新された2モデル

25年前のバイクをどうやって復活させたのか?「ユーロ5+」規制に適合させるために、キャブレター仕様の旧ユーロ2時代のDR-Z400を、インジェクション化して、さらに各種センサー類を搭載して、という作業は、もはや新設計と言っても過言ではない。実際、欧州とは環境規制の異なる北米市場でDR-Z400は販売され続けていた。しかもDR-Z400は「継続して」売れ続けていたモデル。それだけ長期間販売されながらも、常に一定の販売台数を維持していたモンスタープロダクトだったのだ。そのため関係者は「モデルチェンジを考えていたが、どうもタイミングを逃し続けていた…(笑)」という。

テスト走行会で行われた技術説明で示された、ユーロ2とユーロ5+の規制の違いを示すグラフ。旧ユーロ2時代のキャブレターモデルであっても、ユーロ5+規制に適合させるためには、有害物質を80~90%削減する必要がある。ちなみに新DR-Z4S/SMの美点は、レギュラーガソリン仕様でこれらの規制をクリアしていることだ。

いざやろうとなった段階で、リリースを読んでみると、世界はこれほど変わってしまったのかと、非常に困難なことが分かった。旧モデルと比較して、パース図で黄色くハイライトされている変更箇所は、既にほぼ全てが黄色くなっている(下記写真参照)。外装やフレームも大幅に変更されており、エンジンで黄色くなっていないのはクランクシャフト、コンロッド、シリンダーのみ(シリンダーヘッドカバーやクランクケースなどは形状は同じでも、スタッドボルトや表面処理のみの変更といった部分もある)という徹底ぶりだ。新DR-Zは、規制適合はもちろん、旧モデル以上の性能、魅力、耐久性、そして初心者向けの多用途性や使い勝手といった、現代の市場が求める全てを満たしたモデルなのだ。新DR-Zは、まさに挑戦であり、約120万円という価格も決して安くはない! まずはSMから、サーキットで試乗してみた。[/caption]黄色い部分が新設計パーツだが、ほぼ全てが黄色くなっている!

現代のシングルは楽しい!/DR-Z4SM試乗編かつて元気だった250㏄クラスに敬意を表して言うわけではないが、かつて元気だった250㏄オフローダーを知る者ならば、「あの頃のパンチが忘れられない」と感じるかもしれない。各排気量クラスで、動性能を犠牲にすることなく規制に対応するために排気量を増やすのが常套手段であり、オフロード車も例外ではない。DR-Zは「あの頃のパンチ」を搭載しており(400㏄クラスなのだから当然だが)、走り出した瞬間から無条件に「楽しい!」のだ。低回転域、低スロットル開度からでも頼もしいトルクがあり、神経質な部分がなく非常に安定しているのは、さすが国産車というべきか!フライホイールマスか、クランクマスか、緻密なインジェクションセッティングか、電子制御スロットルか、それとも電子制御スロットルでありながらあえてアクセルワイヤーを残したことによる、ライダーの入力に研ぎ澄まされたアナログ的な一体感なのか。いや、おそらくそれら全てだろう。慣らしやすく、いわゆる「ハイパフォーマンスビッグシングル」にありがちな荒々しさや高いハードルといったものは一切なく、誰でも躊躇なく、我々がパドックエリアで既に感じさせられたように、コースに入る前に、乗って、止まって、Uターンができるのだ。

DR-Z4SMはモタードモデル。Sと同等のエンジン諸元と価格で、最高出力は38ps/8000rpm、価格は119万9000円。

DR-Z4SM ライディングポジション
シート高は890mmと数値的にはかなり高いが、車両自体の軽さ、スリムなシート、足を下ろした際の腿周りのスリムさ、そしてサスペンションの沈み込み量の多さから、足裏まで接地感を得られるため、ライダーはほとんど不安を感じない。(写真のライダーは編集部・松田。身長170cm、体重70kg)

テスト走行コース:ツクルマサーキット那須

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さて、コースイン。試乗コースは栃木県那須塩原市にあるツクルマサーキット那須。コースはオール舗装で1周約1km、高速で駆け抜けられるコーナーが多く、コース幅も広い。38馬力のモタードモデルには少々広すぎるコースではあったが、チームはフルスロットルで攻めていく。シャープで元気な1速、2速の蹴り出しはモタードらしい。短いサイクルで軽量ボディがグイグイ加速していく様は痛快だ。さらに、静かなエキゾーストノートは、ライダーに無理なくスピード感を与え、車両をさらに速く感じさせてくれる。一方、3速、4速とギアを上げていくと、ノビシがより顕著になってくる。最初はシングルのノビシは限界があるものだから、早めにシフトアップしていたのだが、驚いたことに「このくらいかな?」と思ったところから、まだノビシが感じられるのだ。まだノビシのストロークが残っていたのだ。旧モデルより最高出力は若干低下しているが、新モデルは高回転域でもパワーを維持し、スムーズに走らせることができたのは、事前に見せてもらったパワー曲線からも分かっていたことだ! 130km/h弱(ちなみにスピードリミッターは135km/hで作動する)でコーナーに進入する手前でそれ以上は試せなかったが、シングル車にありがちな急激な頭打ち感は一切なく、3速以降は「まだまだパワーが出る、まだ出る!」という感覚が味わえるのは至福の時だった。[/caption]リアエンドは、早めのシフトダウンでリアを流すような動きをしても、アシスト&スリッパークラッチのおかげで非常にスムーズに追従してくれた。モタードモデルらしくリアを流すには、より過激なコースと確実なキック(そしてライダーのスキル)が必要だろう。これも「初心者歓迎、エキスパートOK」というコンセプトの表れだ。[/caption]トランスミッションは5速だが、低回転域、低開度から全開域までをカバーするワイドレシオが、シフトミスもカバーしてくれるため、ギアが不自然だったり、繋がりが不足していると感じる場面はなかった。全開走行では2速、3速、4速を使用したが、ツーリングやワインディングペースで3速、4速、5速を使用しても、楽しめるペースで走行でき、ごく低速コーナーでもギクシャクするようなことはなかった。[/caption]旧DR-Z400は、一部でカルト的な人気を博していた。ノーマルでネガティブプレッシャーキャブレターを備えた静かで実用的なモデルであった一方、新品マフラーやレーシングキャブレターで武装すると極めて速いモデルであった。対照的に、新モデルはビッグシングルにありがちな過激さや扱いにくさは全くなく、試乗中にエンジンが突然ストールするような恐怖感も皆無であった。まるでノーマルネガティブプレッシャーキャブレターのDR-Z400と、新インテーク&エキゾーストの過激なDR-Z400が同居しているかのようだ。[/caption]

ツーリング、ワインディング、そしてサーキットデビュー!

エンジンと制御系は高く評価できる。一方、フレームとサスペンションは、モタードという性格上、非常に汎用性が高いが、ロードライディングに慣れたライダーには、少々奇妙に感じるかもしれない。標準的なロードモデルよりも長いストローク量(フロント260mm、リア277mm)は、日常での快適性や乗りやすさ、そしてどんな路面でも安心感をもたらすことにも繋がっている。タッチの柔らかさはツーリングやワインディングでの安心感を与えてくれるだろうし、元気なシングルエンジンは軽快な走りを存分に楽しませてくれるだろう。

エンジンと電装系は、その優秀さから高く評価できる。しかし、いくつかの懸念点も浮上した。

KYB製サスペンションはフロント260mm、リア277mmのストローク量を誇る。タイヤはDR-Z4S専用設計のダンロップSportmax Q5A。

一方、アクティブなライディング、特にサーキットでの全開走行では、フルアジャスタブル性能を試したくなる場面も出てくるだろう。一部のコースではストローク量の多さから、車体がバタついたり、少々挙動が乱れることもある。このコースでも、深いバンク角からアクセルを開けきった際にリアが暴れるような挙動を見せ、リアブレーキを軽く踏んで抑え込むような動きをしていた。テストライダーは「テンション側を2クリック締めてみましょう」と提案し、セッティング変更による変化を楽しむことができた。さらに探求すれば、自身のスキルやコースに合ったセットアップを追求する楽しさを存分に味わえるだろう。しかし、サスペンションはハイスペックである一方、 stockのダンロップSportmax Q5Aは、サスペンションのセッティングが必要になるほどのペースになると限界を迎える。サーキットで積極的に走らせるならば、ハイグリップタイヤへの交換は必須だろう。軽量でパンチのあるモタードモデルに、超ハイグリップタイヤを組み合わせれば、無敵感は格別だ。サーキット走行は非常に特殊な環境であり、ハードルもかなり高いが、こうした走行に魅力を感じる人も多いだろう。しかし、速度域によっては非常に危険であり、車種によってはサーキット走行が最も適した場所ではないことも多い。その点、DR-Z4SMは、ミニバイクコースから、今回のような1kmコースまで、幅広い楽しみ方ができることは間違いない。サーキットデビューをより身近なものにしてくれるだろう。

SDMSの素晴らしいジレンマひとたび初心者とエキスパートのどちらも楽しめるバイクにしているキーポイントは、3つのモード(A、B、C)を持つSDMSドライブモードセレクターの採用だ。他のスズキ車と同様に、パワー曲線やアクセルレスポンスを変更し、最高出力を同じにしている。各モードのキャラクター分けはもちろんのこと、各モードにおける各ギアでの設定まで変更されており、現在の設定は天文学的な組み合わせから導き出されたものだという。そして、どのモードでも極めて自然に感じられるのは、この永遠とも思えるプロセスによる結果であり、完成度の高さゆえだろう。しかし、走行していると、結局一つのモードに落ち着いてしまうことが多かった。もちろん、各モードを乗り比べれば違いはあるのだが、どのモードも使いやすく、開ければパンチがある。事前の説明では「Aモードだからといって低回転域や低開度で扱いにくいわけではなく、Cモードだからといって高回転域でパワー不足を感じるわけではない」と説明され、その通りであった。これは素晴らしいことなのだが、同時に「では、結局Bモードでいいのではないか?」というジレンマも生む。SDMSは、150馬力超えのリッターモデルであれば、確かに効果的だろう。走行状況やライダーのスキルに応じて、SDMSは非常に強力な武器となり得る。しかし、38馬力のシングルDRZ、そして元々優秀な性能を持つだけに、少なくとも今回のサーキットにおいては、ここまでして設定を細分化する必要があったのか、疑問に感じる場面もあった。こうした設定の有用性は、改めて公道での試乗で検証する必要があるだろう。

「SDMS」ドライブモードセレクターは3つのモードを持つが、その有用性は公道での検証が必要だろう。

気になる点を3つ並べて

あれだけ書いてきたのだから、「いや、本当に素晴らしい!」と、私は非常に満足しているのだが、一方で、一般的に「それはどうなの?」と思われるであろう点をいくつか触れておきたい。まず、「5速ミッション」。DR-Z400時代から6速化の要望はあり、高速道路での巡航性能や燃費を考えると、今回のモデルチェンジで実現してほしかったところだ。しかし、クランクケースは基本的に旧世代のものを踏襲しており、6速化するとギアが薄くなってしまう。これにより耐久性の確保が難しくなり、特にオフロードでのハードな走行を考えると、5速設計のままとなったのが大きな理由だ。では、なぜ新クランクケースを設計しなかったのか?しかし、これはケースが大型化し、フレーム幅の見直しも必要となり、全体的な重量増は避けられない。ABSの追加や規制対応で、一般的に7kg増となるところを、DR-Zは5kg増に抑える努力をしており、6速化によるさらなる重量増は許容できなかったのだ。ちなみに、5速ミッションながら燃費は5%向上しており、1回の給油での航続距離は250kmとなっている。最後に、少なくとも今回の試乗においては、5速ミッションが気にならなかったことを改めて記しておく。[/caption]2) NEWフレームエンジンは基本的に旧DR-Z400を踏襲しているが、フレームはシングルバックボーンタイプから左右に分割されたものへと大幅に変更されている。このフレーム部分については、あまり触れられていないのが不思議ではないだろうか。これほどの大幅な変更が加えられたのは、インジェクション化に伴い、タンク下中央から燃料を取り出すことになったためだ。さらに、重量増に対応するための最適な剛性バランスの追求や、大幅に増えた電子制御系のセンサー類の配置をより良くするため、フレーム形状が変更されている。しかし、オフロードの観点からは、特に縦剛性が重要であり、旧世代のシングルバックボーンフレームは優れていたため、新フレームとのバランスを取るのは非常に困難な開発プロセスであった。[/caption]新モデル(DR-Z4S/SM)が右、旧モデル(DR-Z400S/SM)が左。フレームが一本のバックボーンではなく二本になっているのは、FI化に伴い、燃料ポンプを燃料タンク中央に配置するため。旧モデルの燃料タンクはバックボーンを跨ぐ形状で、燃料ポンプのセンター配置が困難だった。 3) 119万9000円という価格についてこれは筆者を驚かせた。ちなみに、同クラスの400㏄クラスを見てみると、4気筒80馬力のZX-4Rが117万7000円から、トライアンフのシングル「Sport 400」が73万9000円、KTMの390SMCRが85万9000円となっている。復活したDR-Z、そして比較的安価な国産モデルの一つであるスズキが、シングルで約120万円という価格設定をしてきたのは驚きだ。しかし、25年というブランクを忘れてはならない。ユーロ2時代のエンジンをユーロ5+に適合させるのは容易なことではなく、各種電子制御に費やされた開発時間と労力は相当なものだったはずだ。価格設定は難しいものであり、400㏄シングルで約120万円という価格であれば、死角は一切ないはずだ。そして今回の試乗で、そのような死角は見当たらず、ただただ素晴らしかった。安価だとは思わないが、スズキがこの価格を設定してきたということは、それだけ覚悟があるということだろう。実際、計画販売台数1200台はあっという間に完売し、既にバックオーダーとなっている。関係者は「海外への割り当て台数を調整し、国内のお客様にいち早く供給できるよう努めます」と言っていたが、販売が好調なだけに、価格が高すぎるのではないかという懸念は杞憂に終わった。ちなみに、スズキは近年、趣味性の高いプレミアムバイクの価格を上昇させている一方、広く普及している250㏄、125㏄クラスの価格は据え置きか、わずかな値上げに留めている。DR-Zは、まさに前者のプレミアムカテゴリーに位置づけられるだろう。

「DRおじさん、これだよ!」/DR-Z4S試乗編国内市場ではSMよりもSの方が出荷台数が多く、SMはスズキの想定通りの販売ペースで推移しているとのことだが、世界的な視点で見れば、DRは基本的にオフロード車である。新モデルの開発にもスズキのモトクロスチームの意見やアドバイスが取り入れられており、オフロードでの使用を想定した高いオフロード性能と耐久性が盛り込まれている。日本国内でも、スズキのオフロードファンは以前からDRの復活を待ち望んでいた。スズキのラインナップに本格的なオフロード車が登場するのは久しぶりであり、「グラストラッカーやVストローム250SXでは満足できない!」という声が多く、「DRを復活させてくれ!」「とにかくDRを復活させてくれ!」という声が多数あり、そうした人々は「DRおじさん」などと呼ばれていた…。そんなDRファンに、お待たせしました!DRの復活です。[/caption]DR-Z4Sはオフロードモデル。Sと同等のエンジン諸元と価格だが、21インチホイールを採用し、高いオフロード性能と耐久性を実現している。[/caption]

DR-Z4S、ライディングポジション
サスペンションストロークが長いSは、シート高こそSMと同じ890mmを達成しているが、シートのウレタンはSMよりも薄く(ベースとシャシーの間にゴムクッションを挟み、振動抑制などの快適性を確保)、そのエッジが腿を広げるため、足を真っ直ぐ下ろすのは難しい。しかし、車両自体の軽さ(ライダー:編集部・松田。身長170cm、体重70kg)から、ライダーはほとんど不安を感じない。

Gモードで安心してオフロードへ

テスト走行コース:丸和オートランド那須

Sの試乗は、ツクルマサーキットに隣接する4輪ダートコース、丸和オートランド那須で行われた。高トルクな400㏄エンジンと400㏄クラスの車体サイズから、オフロード走行への挑戦には少々気後れするかもしれない。しかし、新DR-Zの「初心者歓迎」のスタンスが、そんな状況をサポートしてくれる。SMと同様に、DR-Z4Sは3つのライディングモード(1、2、OFF)と3つのトラクションコントロールモードに加え、オフロード走行用のG(グラベル)モードを備え、SMではリアのみABSカットが可能だったのに対し、Sでは前後ABSカットが可能だ。もちろん、全てのモードはオフロード走行用に精密にチューニングされており、SMのセクションで述べたように、天文学的な組み合わせの中からSのために開発されたものであり、SMとは異なる。多くの粘り、忍耐、度胸、そして忍耐が必要だったが、ついに「これでいこう。これがベストだ」という結論に至ったのだ。[/caption]SMはリアのみだが、Sは前後ABSカットが可能。[/caption]早速、車体をGモードにセットし、コースへ飛び出す。コースは、硬い路面に浮いた砂利という、非常に難しい状況だ。他のジャーナリストの中には、オフロード走行が得意な方でも「結構怖い。すぐに転んじゃうよ…」と言う人もいた。実際、数名が転倒していた。しかし、私自身は、ABSが付いているので、ブレーキに触れた瞬間にいきなり動かなくなるということは考えにくく、トラクションコントローラーもあるので、気づいた時には180度スピンしているということも考えにくいことから、それほど恐怖を感じずに走り出すことができた。身長(185cm)のおかげで足つきが良いというアドバンテージはあるものの、私は決して上級オフロードライダーではなく、そんなトリッキーな状況に「電子保険」があるという安心感に包まれて、恐怖を感じずに臨めたのだと思う。[/caption]Gモードを信じて、ストレートではフルスロットル。VストロームDEシリーズのGモードは、平坦なダートを想定しているが、今回のコースのように、歩いて登るのも難しいほど滑りやすい路面では、その真価を発揮する。しかし、このコースでは、浮いた砂利の上を「タタターン!」と走る感覚を楽しむことしかできなかった。ブレーキも非常にコントロールしやすい。こうした状況ではコーナリングスピードを上げることはできないため、減速し、旋回し、再びアクセルを開ける!という乗り方をしたのだが、そのような状況にもよく応えてくれた。[/caption]しばらくすると、バイクに慣れてきたところで、リアABSをカットし、さらにGモードを解除してトラクションコントロールをオフにすると、状況に慣れてきたこともあり、トラクションコントロールオフでも briskなペースを維持できるようになった。リアタイヤが流れたり空転したりしても、わずかな体重移動やスロットル操作で再び車体を安定させることができ、電子制御以外の部分でも車体の良さを感じることができたため、不安なくハイペースを維持することができた。リアABSをオフにすることで、エントリーでのリアの流し込みが容易になり、コーナリングがコンパクトになった。車体自体もよりコンパクトに感じられた。バイクとの一体感が増すにつれて、ライダーはますますリラックスできたのだが、フロント周りに少々硬さを感じる場面があった。しかし、路面は滑りやすく、タイヤはオンロード寄りのIRC GP410を装着していたため、フロントの剛性をグリップやブレーキングに活かすことができなかった。一方、タイヤを交換すれば、モトクロスのような高負荷走行も可能になるだろうと連想できた。

転んで初めて気づいたこと

オフロードをうまく走っていると、必ずと言っていいほど待ち受けているのが転倒だ。いつもの調子で、少し速めにコーナーに進入しすぎてしまい、フロントの挙動を抑えきれずに左側に転倒してしまった。本当に恥ずかしい。関係者の皆様には申し訳ない。しかし、転倒したからこそ気づいたことがあった。悪路で、足が着かないようなグラベルの上で400㏄のバイクを起こすのは、時として困難なのだが、ハンドル周りを持って起こしたところ、予想以上に簡単に起こすことができたのだ。「なんだ、250㏄バイクみたいじゃないか?」と思った。そして、転倒したにも関わらず、レバー類やレバーホルダーは曲がりや破損はなく、ハンドルバーも無事だった。ステップやペダル類も無事だった。ミラーや外装には傷がついたが、次の走行には問題なく臨めた。オフロード車としては珍しいバーエンドウェイトが装着されていたことも良かったのだろう。バイクが転倒したらグリップが剥がれてしまうのは当然だと思っていたが、DR-Z4Sはバーエンドが削れた程度だった。実際に林道などに出かけるのであれば、最低でもレバーガードくらいは装着するだろうが、今回の程度の転倒でバイクに傷がついただけで済んだということは、DR-Z4Sがオフロード車としては優れた性能を持っていることを物語っていると思う。[/caption]

広がるDRの世界

SM/Sの試乗を終えて、一日を非常に満足して終えることができた。楽しさやワクワクした気持ちに加え、この2モデルが提供してくれるであろう、広がるバイクライフを想像することができたのだ。SMは17インチホイールにより、ストリートでの扱いやすさ、小回りの良さ、そしてモタードモデルとしてのカッコよさや若々しさは、ストリートでの利点を改めて思い出させてくれ、ワインディングやサーキットデビューへと世界を広げてくれるだろう。対照的に、Sは「DRおじさん」をも満足させる確かなオフロード性能を持ちながら、オンロードユーザーを含む、ツーリングユーザーにも広く愛されるモデルとなるだろう。Sに装着されているタイヤのブランドから、今回のようにコースで使用するのではなく、オフロード走行も楽しめる一般ライダー向けの日常使用にも適していることが想像できた。モタードカテゴリーやDRおじさんのコアファンに加え、一般ライダーにとっても、新DR-Z4は非常に満足度の高いモデルになることは間違いないと確信しており、多くの人に乗ってほしいと強く願っている。もし、トラッカー/スクランブラーモデルとして、もう少しシート高の低いバリエーションモデルが登場すれば、さらに広く受け入れられるだろうが、それは欲張りすぎだろうか![/caption]

スズキ DR-Z4S/SM - 主要諸元([ ]内はSM)

全長×全幅×全高:2270×885×1230mm [2195×885×1190mm] - ホイールベース:1490mm [1465mm] - シート高:890mm- 車両重量:151kg [154kg] - エンジン:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 398cc- 最高出力:38PS(28kW)/8000rpm・最大トルク:3.8kg-m(37Nm)/6500rpm・燃料タンク容量:8.7L・変速機:5速リターン・ブレーキ:F=ディスク R=ディスク・タイヤ:F=80/100-21[120/70R17] R=120/80-18[140/ 70R17] ・キャスター/トレール:27°30′/109mm[26°30′/95mm] ・価格:119万9000円 前往圖庫 (25)

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