ヤマハのスポーツヘリテージモデル「XSR900」をベースに、80年代のWGPファクトリーマシンを彷彿とさせるスタイリングで登場した「XSR900 GP」。ラインナップに新たにイエローの「USインターカラー」が追加された! Text: 小川 裕康 Photos: 小泉 祐子
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再現性を重視したディテールは全て変更
「ヤマハレーシングヒストリーの具現化」をコンセプトに、80年代のYZR500ファクトリーマシンに敬意を表した外装パーツを装着するXSR900 GP。アッパーカウルステイは丸パイプ製で、ベータピンが装備される。TFTメーターはアナログ風表示も可能で、タコメーターとしても使用できる。ラインナップに追加された新色のイエローは、70~80年代のアメリカンレーシングシーンで活躍したモデルに採用されていた「USインターカラー」と呼ばれるもの。継続販売されるホワイトからの変更点は、オリジナルのホワイトからの変更点。メインフレーム、スイングアーム、フロントサスペンションアウターチューブ、ブレーキ&クラッチレバー、ステップ類はブラックで、リヤサスペンションスプリングはイエロー、ホイールはゴールド。リヤサスペンションスプリングはイエロー、ホイールはゴールド。XSR900 GPのエンジンは、クロスプレーンコンセプトの並列3気筒「CP3」。燃焼室で発生したトルクを効率よく引き出すことを特徴とし、スポーティさと環境性能を高いレベルで両立。CP3には、ライダーの好みに合わせて5つのモード(SPORT、STREET、RAIN、CUSTOM(2種設定可))で特性を変更できるヤマハライドコントロール(YRC)システムを搭載。このYRCは6軸IMUと連携し、バンク角を反映したトラクションコントロール、旋回をサポートするスライドコントロールシステム、フロント上がりを抑制するリフトコントロールシステム、バンク中のスキールを検知してブレーキ圧を制御するブレーキコントロールなど、走行中のマシンの挙動を制御。CUSTOMモードでは、これらの介入度をライダーが任意に設定可能。さらに、アップ&ダウンに対応するクイックシフトシステム、減速時の過剰なエンブレを軽減するアシスト&スリッパークラッチ、約40km/h以上で3速からセット可能なクルーズコントロール、スマートフォンとの連携で利用できるナビゲーション機能など、往年のワークスマシンさながらの装備が満載。往年のワークスマシンを再現したスタイリングに、最新の電子制御機能を搭載し、ライダーの安全で快適なライディングをサポートする。

USインターカラーは、黒い帯に白いスリットが入ってチェーンのように見えることから「チェーンブロック」や「ストロボカラー」とも呼ばれた。現在は「スピードブロック」と呼ばれる。デザインモチーフはキングことケニー・ロバーツが駆ったYZR500。

フレームやスイングアーム、ブレーキ&クラッチレバー、ステップ類はブラックでまとめられ、前後ゴールドのホイールなど「イエロー」の個性的要素も多い。価格はホワイトモデルの143万円から146万3000円にアップ。

専用アプリ「Y-Connect(ヤマハモーターサイクルコネクト)」をインストールしたスマートフォンと連携し、着信やSNS通知を表示。さらに「Garmin StreetCross」をインストールすると、メーター画面でナビゲーション機能が利用可能になる。
XSR900 GPの足つきをチェック
「YRC」は走りも乗りやすさも両立
往年のファクトリーマシンを彷彿とさせるスタイリングを持つXSR900 GPは、スポーティな走りを実現しつつ、最新のYRC電子制御システムによりエンジン特性や走行中のマシン挙動を制御することで、幅広いライダーが乗りやすいマシンへと進化している。エンジン特性や走行中のマシン挙動を制御するYRCシステムにより、幅広いライダーが乗りやすいマシンへと進化している。前述の通り、YRCには3つのモード(SPORT/STREET/RAIN)があり、これらのモードを変更することでエンジン特性が変化する。XSR900 GPのエンジンは、アイドリング域(メーター表示で約1400rpm)から粘り強いトルクを発生し、アシスト&スリッパークラッチにより、そこからのアクセル操作に対するレスポンスが最も顕著に変化する。SPORTモードでは、スロットルレスポンスは鋭く、エンジン回転数は素早く上昇し、ライダーは高回転域を積極的に使っている感覚を得られる。エンジンは全域でパワーバンドに入っている感覚が良く、エキゾーストサウンドも心地よく、CP3の持ち味であるスポーティな性能を存分に楽しむには最適なモードと言える。一方で、大きなトルク変動はマシン挙動をギクシャクさせる原因となり、市街地では速すぎる挙動だと感じたのも事実だ。対してSTREETモードでは、2500rpmからは依然としてトルクは力強いものの、スロットルレスポンスは鋭さを失い、エンジン回転の上昇もやや緩やかになる。しかし、加速力は十分以上であり、スロットル操作に対するマシンの挙動は予測しやすく、幅広い状況で使いやすいモードと言える。RAINモードでは、スロットルレスポンスはマイルドでエンジン回転の上昇も緩やかになり、3000rpmから大きなトルクが発生し始めるものの、そこからのトルク変動は小さく、マシン挙動にギクシャク感はない。雨天時やライダーの疲労が大きい状況でも、安定感のある走りを実現してくれる。これらの3つのモードとカスタムモードを切り替えることで、XSR900 GPの乗り味は、交通状況や路面状況、ライダーの状況や好みに合わせて調整することができ、これが乗りやすさとして感じられるのだ。
スポーツツアラーとしてツーリングも楽しめる
YRCに加え、乗りやすさに貢献しているのがライディングポジションだ。XSR900 GPはセパレートハンドルを採用しており、同エンジンを搭載するXSR900やMT-09よりも前傾姿勢は強くなる。しかし、セパレートハンドルのグリップ位置は高めにセットされているため、レーシーなスタイリングから想像されるほど前傾姿勢はキツくなく、YZF-R9ほど深くはない。個人的には、MT-09をベースとするXSR900はスクランブラー的な大排気量車、MT-09はライダーが積極的に荷重移動することでスポーティな走りを引き出すハンドリングを持つストリートファイターであり、XSR900 GPはXSR900よりもスポーティだが、MT-09ほどシャープなハンドリングではないという印象だった。そして、さらにシャープなハンドリングとサーキット志向の走行性能を持つスーパースポーツYZF-R9が登場したことで、XSR900 GPのスポーツツアラー的な乗りやすさがより明確になったと感じた。ハンドリングは落ち着いており、前傾姿勢も浅く、自然にフロントに荷重がかかるライディングポジション。前後サスペンションは、初期からスムーズに衝撃を吸収し、フラットな乗り心地を提供してくれる。前後タイヤの接地感が掴みやすく、車体の安定感も高く、カウルによる防風性能も高い。シートは前後長があり、シートポジションの自由度が高く、積極的にフロント荷重をかけたり、お尻の痛み軽減のために後ろに下がったりすることも可能だ。これらの特徴は、高速道路での快適なクルージングや、目的地までのワインディングロードでのコーナリングを楽しむといったスポーツツーリングに最適化されている。さらに、40km/h以上で3速からセット可能なクルーズコントロール、スマートフォンと連携できるナビゲーション機能、クラッチ操作を不要にするクイックシフトシステムといった最新機能は、ツーリング時や市街地での走行をサポートしてくれる。ただし、バーエンドミラー自体の視認性は悪くないものの、視点移動が大きくなったことで、乗り始めは違和感を覚えた。往年のファクトリーマシンを再現したスタイリングでありながら、最新の電子制御と現代的な乗りやすさを両立したXSR900 GP。このスタイリングに惹かれたなら、ぜひ一度試乗してみてほしい。スタイリングに惹かれたなら、ぜひXSR900 GPを試乗して、レーシーなフィーリングとフレンドリーな乗り心地を両立した独特の魅力を体感してほしい。そして、YZR500に憧れていた方や、「USインターカラーが出たら欲しい」と思っていた方には、まさにそんな一台になったと言えるだろう。
ヤマハ XSR900 GP 主要諸元
全長×全幅×全高:2160mm×690mm×1180mm ・ホイールベース:1500mm ・車両重量:200kg ・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ 並列3気筒 888cc ・最高出力:88kW(120PS)/10000rpm ・最大トルク:93N・m(9.5kgf・m)/7000rpm ・燃料タンク容量:14L ・変速機:6速リターン ・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=シングルディスク ・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17 ・価格:146万3000円 (20)
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